労災保険特別加入制度の対象

労災保険は、一般的には労働者を保護するためのものです。経営者や役員は労働者ではありませんので労災保険には加入することができません。しかし、労働者ではない人でも、労災保険に入れることがあります。それが労災保険特別加入制度です。

特別加入制度の対象になるのは
・中小企業事業主や家族従事者
・1人親方や自営業者
・海外派遣者などです。
中小企業事業主が特別加入するには労働保険事務組合に加入する必要があります。

1人親方とは、従業員を雇用せずに労働する者のことを言います。具体的には、個人タクシー、大工、林業家、漁師などが挙げられます。これらに類する人が特別加入するには、労働保険を取り扱う事業主団体に加入する必要があります。 海外派遣者とは、国外で勤務する者のことを言います。労災保険は国内勤務者が対象となるのですが、特別加入制度を利用すれば国外勤務者も労災保険の対象とすることができます。

労災保険特別加入制度を利用して労災保険に加入することはできますが、通常の労働者とは異なる点がいくつかあります。 たとえば個人タクシー事業者、農林業事業者、漁業者は通勤と労働の区別がつかないことがあるため、通勤災害での保険給付は行われません。

通常の労働者の場合、保険給付のための給付基礎日額は平均給与から算出できますが、特別加入者は自分で決めた給付基礎日額に基づいて保険料を支払います。 また、通常の労働者の場合は、休業補償給付要件として賃金を受けないことが挙げられますが特別加入者にはそれがありません。