政府労災上乗せ保険の対象にする場合の注意点

政府労災保険の特別加入制度には、3種類あります。それは、一定規模以下の中小事業主を対象とする第1種特別加入者、一人親方等の第2種特別加入者さらに海外派遣者等の第3種特別加入者です。それぞれ所定の加入方法により政府労災保険に加入していただきますが、注意したいのは、これら政府労災保険の上乗せ補償を手当てする場合に、この特別加入者を対象とするのかを明確にしておかなければならないことです。

一般的に「上乗せ補償」の場合は、法定外補償規定を社内で制定し、特別加入者の補償条件を設定します。問題はその補償のために損害保険に加入する場合です。上乗せ補償部分を補償する保険の主流は、各保険会社により商品名が異なる場合がありますが、「労働災害総合保険」といわれるものと「従業員災害補償保険」の2種類です。

「労働災害総合保険」は、あくまで政府労災の給付が決定された場合の上乗せの補償であり、「従業員災害補償保険」は、個人でも加入できる「傷害保険」の団体契約という位置づけで商品が構成されている場合が多いです。注意すべき点は、「労働災害総合保険」では、特別加入者を上乗せ補償の対象とする場合は、第1種と第2種の特別加入者を対象とする「特別加入者担保特約条項」、第3種には「海外危険担保特約条項」の付帯が必要で、かつ特別加入者の記名が必要となります。

一方、「従業員災害補償保険」の場合は、保険の対象者は、一般の社員のみならず特別加入者も記名不要とし、契約者企業の売上高や請負金額で保険料を決定する方法をとっている場合が多く、とりわけ特別加入者のための特約条項や記名も必要としない簡便な方法となっている場合が多いです。

前者の「労働災害総合補償保険」は、昔ながらの全損害保険会社ほぼ同一の内容ですが、後者の「従業員災害補償保険」は、傷害保険等をベースに各保険会社が顧客のニーズに応えながら開発してきた保険ですので、各社商品により内容や保険料、補償内容も異なります。特別加入者も含めて政府労災保険上乗せ保険の対象とされたい場合は、保険契約の前に損害保険代理店等に十分説明を受けることをおすすめします。